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YAMAHA MG-M series

現在もYAMAHA MG-M(松本孝弘)シリーズが大好きと言う皆様に向けて書いたちょっとした“読み物”です。現在存在するMG-Mシリーズを皆様と一緒に遠くの未来まで連れて行きたい想いを込めて書かせて頂いてます。又、正解や参考にと書いた物では有りませんので、いいなと感じれた部分だけ自由に抜き取って貰えたらなと思います。

YAMAHA MG-M Series ~CONDOTION CHECK~

f:id:mg-m2:20200103132109j:imageYAMAHA MG-Mシリーズ(松本孝弘モデル)はMG-M/MG-MⅡ/MG-MⅡG/MG-MⅢ(MG-M Custom)と全6モデルありますが、ご存知の通り販売終了期間は様々なものの廃版となってしまいました。その中でも1stモデル(MG-M 89年製)は古い物だと今年で約31年もの月日が経つ事になります。

そんな中で色々とMG-Mシリーズをネット検索して居ますと、まれにミントコンディションの個体を所有する方々が見れ、ただただ凄いなと、更に嬉しくも思い感動をしました。

ただ当方の所有機を含め、使用して行く事でやはり大体のMG-Mシリーズと言うのはボディ塗装の色褪せや焼け、他にハードウェアの劣化などが見て分かる物が殆どで....年式相応、中にはヤレ過ぎて正常に作動&コンディションの元で音が出ているのかと?思うような個体はどうしても多く見受けられる気もします(汗

と言う事で、MG-Mシリーズは古いエレキギターの仲間であるのでこの機会にコンディションチェック的な事と、“劣化あるある”的な症状を経験談と観察から幾つか書いて見たいと思いました。

f:id:mg-m2:20200103135805j:image因みに今回は悪い症状を載せる為に所有のMG-MⅡG(部品取り)個体の幾つかの画像も使って載せたいと思います。

その他ランダムでモデル別の画像が出て来ますが、使用パーツの殆どが共通な事や大きな差はないので気にせず見て貰いたいです。

それではコンディションチェック、あるある、最後にメーカー推奨セットアップなどを含めて書き進めたいと思いますので宜しくお願いします。

f:id:mg-m2:20200103140852j:image先ず演奏する上でのコンディションチェックで重要な部分が沢山あり過ぎて書き切れませんので、基本となるトラスロッド調整やフレット浮きなどの問題はここでは省かせて頂きます。

その上でMG-Mシリーズ“あるある”として先ず書きたいのがネックジョイント部分です。ここはロック式トレモロのRM-ProⅡ搭載モデルに限った事ですが、過激なアーミングの負担からダメージが蓄積してガタ付きが発生する個体が稀に出ます。

因みに所有物の内の1本はこの症状を持つ事で部品取りになってしまったのですが、ネックとボディの接地面の問題の他にネジ穴が広がってタイトルに締めれないなどの色々な要素で修正は非常に難しく思います。

こうなるとアームアップ/ダウン時の度に「コクっ...」「ピキっ...」「ミシっ..」などの異音と共にチューニングがズレて楽しく演奏できないレベルになってしまいます。

 

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f:id:mg-m2:20200103140818j:image続いてRM-ProⅡに関連する事を書いて見ますが、問題が非常に多く劣化症状でのデメリットが連鎖してチューニング狂いや正常な動作だけではなく、メーカー推奨のセットアップができずしっかりした出音が得られない状態になってしまう事に繋がるかと思われるポイントが複数出て来ます。

その①としてRM-ProⅡのナイフエッジ部分の消耗に伴い凹みができる。その②としてフローティングの際に軸となる左右2本のスタッドボルトの受け部分の凹みです。

この両者の部品は基本は消耗品ですが、特にスタッドボルトに関してはRM-ProⅡ本体の劣化軽減の為にメーカーが意図的に通常の物より柔らかく作った事で消耗は比較的に早い気がします。

この事で両部品(ナイフエッジ/スタッド)はどんどんと喰い込んで行き、接点の面積からスムースさは欠けて行きつつチューニングも不安定気味になって来ます。


f:id:mg-m2:20200103140800j:image次にそのスタッドボルトを収めるアンカー側です。

柔らかいとされるバスウッド材に圧入でアンカーは埋め込まれてますが、やはりここも劣化等で抜け出て来てしまいやすい箇所に思います。

その症状としてアームダウン時や弦高調整時、他に弦交換でリセンス加工内(ザグリ)に物を詰める事で浮き上がるなどを良く耳にします。

この状態ですと正常な出音はおろか、演奏自体にも支障が出る(チューニング不安定)のでチェックして置きたい部分と当方は考えます。

更にクラックや塗装剥げも多い箇所にもなりますが、この事で圧入されたアンカーは抜けて易くなって更に僅かなガタ付きから張力で内部のアンカー周りが拡張されて斜めになる原因に繋がる事も予想できます。

..ここで余談になりますが、長期間保管に弦が切れてRM-ProⅡ本体が尻下がりの状態をキープしてしまう状態は避けましょう!これは自論なのですが、アンカーが上方向に抜けれるような負担は(プレイ中以外の)極力避けた方が良いと感じるからです。


f:id:mg-m2:20200103140809j:imageこれらの悪い連鎖で出てくる最悪の症状が↑画像のザグリからRM-ProⅡ本体が迫り出す状態です。

ナイフエッジ&スタッドが食い込み、アンカーは斜め前方向になる事でRM-ProⅡ本体は正常な位置を保てないのです....

つまりこの事で問題が起きるのが、アームダウン時に浅い部分でRM-ProⅡ前方がボディタッチする事に始まり、弦高やブリッジ高も底を突く事で下げれない、もっと言うとピッチやチューニング狂いも発生してしまいます。

又、個体差はありますが、やはり経年劣化が進む事で起きる症状でもありますから?手持ちのコンディションチェックの場合は真上からRM-ProⅡ本体とザグリの位置関係を見て見ましょう。場合によっては1弦側/6弦側のどちらかが傾く場合もありますし、中古品では例え『美品』『良好』などの記載された物でもこのケースの場合が多く見れる傾向にあります。

 

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f:id:mg-m2:20200103150901j:imageRM-ProⅡ関連としてもう少し話を挙げて見ます。

アーム関連部品では最も重要なのが↑画像のパーツ類だったらりしますが、アームバーの保持....ガタ付きを抑える....アームのフリクション(抵抗)を決める....これらの事を画像の各パーツで行われます。

構造としはRM-ProⅡ本体のアームホール内は奥に行くに連れて細くテーパー状態になってます。そこに真鍮製(ゴールド)のスリーブが入り、ロックダイヤルで締める事でスリーブは下りアームバーのフリクションが決まって行きます....が?

実はスリーブの切れ目の微調整で総合的にフリクションやアームバーのセット時のガタ付きを修正できたりします。更にアームバーを保持する板バネ式スプリングもデフォルト状態では結構なフリクションがあって、ここも調整する事で幅広く味付けを決める事のできるパーツだったりします。

なのでアームバーの紛失もですが、その他の関連部品も非常に大事な役割を果たすので、正常な動作ができるエレキギターを保つには重要になって来ます。

 

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f:id:mg-m2:20200103152125j:image次はコンディションチェックとは関係しませんが、アーミングの際の可動域について書いて見ます。

MG-MシリーズのRM-ProⅡ搭載モデルは深いアーミングが出来るのが魅力ではありますが、アームアップ時にボディタッチしてアップ量の確保が難しいと思う件です。

これも実は理由がありまして、メーカー側はアップ時の弦切れを配慮して制限を設けてるという事です。なので↑画像の様にボディのリセンス加工、それとRM-ProⅡ側にはストッパーなる凸があるのでRM-ProⅡ本体を水平マウントに保ちながらメーカー推奨値に合わせる事で必要最低限のアップ量をはじめて確保できるようです。

なのである意味?推奨値を大幅に超えた弦高低めのセットアップだと単純にメーカーが狙ったアームアップ量の確保は難しい事になります....よね?

 

f:id:mg-m2:20200103153417j:image続いてRM-ProⅡ搭載モデルは、RM-ProⅡとロックナットの2点を組み合わさってはじめてロック機能を果たしますので、そのロックナットについて話しを書きたいと思います。

↑画像を見て頂くと分かり易いと思うのですが、ロックパーツの裏側には押し弦した事で擦り傷や物によっては凹みが生じて来ます。

このロックナットパーツも消耗品ではありますが、年代(モデル)別でサイズが異なる事と新品の入手は非常に難しいです。ですがこのパーツは非常に重要で高トルクで締め上げた物は凹みの影響で上手にロックできなくなって来ます。

更に注意点としては機能はもちろんオリジナルをキープしたいのであれば、各弦にセットする場合は混合せずに定位置を決めて最小限のトルクで締めてあげる事がポイントかと思われます。

なので凹みもなく浅い傷程度のコンディションですと意外にも抵トルクでロックしてくれます。

 

f:id:mg-m2:20200103155014j:imageある程度のコンディションチェックのポイントを紹介できたのでメーカー推奨のセットアップも混ぜてMG-Mシリーズの調整について載せて行きたいと思います。

先ずはヘッドに備え付けられたテンションバーですが、↑画像の角度と接近具合で目視しながらセットするといい気がします。

ポイントとしてはナットに乗る“弦”がピッタリと“接地した瞬間”を見逃さない様にテンションバーを徐々に下げる事です。もちろん好みは存在しますが、このテンションバーの振り幅は非常に狭く簡単に弦がトラスロッドカバーに当たりますので元々幅広くの調整不可能だったりします。

そして弦がナットに綺麗に触れたベストな状態にとどめますと、チューニング後にロックナットを適切に締めた状態で音がシャープしなくなります。


f:id:mg-m2:20200103155019j:image次は弦高調整をして行きます。これはあくまでもメーカー推奨なので好みのセットアップにする場合は無視して下さい。

先ず一切押し弦せずに最終フレットの22fを『2mm』にセットします。この時に画像の様に寝かせてではなく、弾く状態、ギターを抱えた状態でセットアップする事を当方はオススメです。

因みにこの22fの状態を2mmにセットすると12f上(所有機の場合)は、1弦側が約1.8mmの6弦側が約2.0mmです。

目安とされる押し弦ありの計測(12f上)の場合は所有機の各個体差はありますが、名刺1枚程度〜もう少し隙間ある順反り狙いの高い感じにセットになってますので参考程度に!


f:id:mg-m2:20200103155036j:image次にRM-ProⅡ本体のマウントですが、メーカー推奨はボディに対して並行を意識してセットアップします。

この時にアームアップ量の確保目的で尻上がりにしてしまうと、弦が乗るサドルとの接地具合が多少なりとも変わってしまうので?やはりメーカーが推奨しつつ、作り上げた音に近づけるのであれば?!ここは好みを無視して推奨セットアップが良いと当方は感じます。


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f:id:mg-m2:20200103155025j:image弦高とRM-ProⅡ本体の水平マウントのセットが完了しましたら次はオクターブ調整をオススメします。

方法は↑画像を見て紹介しますが、RM-ProⅡ搭載モデルに関してはオクターブ調整の際に一切弦は緩めません。

①のサドルに付くビスを緩めて、②のオクターブ調整ネジを出音に合わせて回して調整するだけです。その後に①のサドル側ビスを締めロックが完了したら他弦に移り、繰り返し調整を進めて行きます。

何故に弦を張った状態で①を緩めてもサドルが前後しないかですが、②側の一般的なフロイドローズ にはない部品が関係してます。構造としては本当に単純で、デフォルトで前後移動をストッパーの役目をしつつオクターブ調整ネジとして動くからです。


f:id:mg-m2:20200103163519j:image次はピックアップ調整です。もう殆どの調整方法が好みとは関係ない推奨値の参考ですが、やはり一度は吊るし(メーカー推奨)状態を味わってから色々と手を付けて行くのも遅くはないかと当方は思います。

因みにピックアップ調整は↑画像の通りの操作方になりますが、上下+前後の傾きも備えるバリエーションある動きができます。

ピックアップ高としてはポールピースと弦との間が2mm〜3mmが推奨です。その差は僅か1mmですが、この振り幅とフロント&センター&リアの組み合わせで実は沢山の出音が楽しめます。

当方はモデル別(ピックアップが違う)でバラバラではありますが、ポールピース(各音量調整)は全てフラットに一旦戻して前後3mmスタート、そこからピックアップを弦に近付けて行く方向で触るのをオススメしたいです。

ピックアップ高の調整は最終フレット となる22fを押さえた時の“ピックアップとポールピースまでの距離”を測ります。

 

f:id:mg-m2:20200103163512j:imageと言う感じで色々と書き進めて来ましたがどうだったでしょうか?!

因みにセットアップに関しては正にお好みの部分はありますが、メーカー推奨値で正しく発音しない場合はネックコンディションやフレット状態、ナット高など色々な面で問題を抱えている状態なのかも知れません。なのである意味メーカー推奨値でのセットアップはコンディションチェックにも繋がるかと考えられます。

ただ記事の内容には間違った情報があるかも知れませんので、違うと思ったらコメントや各自で聞き入れない方向でお願いします。

 

そして今回このような内容の記事を投稿したのも、結局の所はMG-Mシリーズが好きで....もっと遠くの未来まで一緒に連れて行って欲しいと願うからでもあります。

又、MG-Mシリーズと言うエレキギターもコンディション良く調整もしっかり取れて状態であれば、十分に現代でも活かせる1本になれるのではと思う部分が少なからずあるからかも知れません。

現在の所有者さん、そしてこれから手にして行くだろうワクワクな皆さんと一緒に当方もMG-Mシリーズを最大限に楽しめたらなと思います!

今回も長い記事になってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。終わりです。