YAMAHA MG-M(BSB)
市販された松本孝弘モデルの記念すべき第1作目の“MG-M”が販売されたのは、1989〜1991年であり僅か3年間と言う短い期間でした。ちなみに当時の定価は¥65,000です。
余談になりますが3年間の販売は最終モデルのMG-MⅢ(ZF)も同じで、球数が少ないのも頷けます。
そんなMG-M(BSB)を当方が今回紹介できる事をとても嬉しく思っています。
この場ではギター紹介の為に多くは語れませんが、初の松本孝弘モデルを購入する際に最も悩まされたエレキギターでもあります。
当方が手にしたいなと思った時には既にMG-MⅡGの販売が開始された頃だったので....どちらのモデルが多くの楽曲に対応できるのか、そして最も松本孝弘になれる気分を味わえるのは?などなど夢とワクワクを貰ったモデルでもあるのです。
...そんな感じで前置きが長くなりましたが、久しぶりに多くの画像を添えて色々と見ながら書き進めたいと思います。宜しくお願いします!
【BODY】
MG-Mのボディは2〜3ピースを張り合わせた構造でバスウッド材を使用してます。
カラーはブルーサンバーストで、中央はライトブルーからボディサイドに向かって色濃くボカシが入っています。
この辺はMG-MⅡと同じですが、実は色濃く乗ったブルーの色味が今回のMG-Mでは暗めで、紺色に寄った深い青味があります。
個体差や色褪せ等も考えられますが、当方はパッと見て気が付きました。
【HAED】
MGシリーズを象徴するこのアイスホッケースティックなデザインはもうおなじみですね?!
幾つかのMG-Mシリーズの紹介でも同じ事を書いてますが、やはりヘッド形状とYAMAHAロゴ、その後に続く細かな文字....それらが独特な雰囲気を生んでます。
又、ペグはGOTOH製ですが、指で回すボタンが他のMG-Mシリーズと異なり少し厚みがあります。
【NUT】
1stモデルのMG-Mは後に搭載されるRM-ProⅡ(ロック式トレモロ)ではないので、アーム無しでよく見る普通のナットを使用してます。
市販されたMG-Mシリーズでは唯一の仕様であり、スタンダード感溢れる見た目が逆にそそります。
【FINGR-BORD/NECK】
メイプル材を使用した指板,ネック,ヘッドは3ピース構造で形成されてます。
指板Rは350でサテンフィニッシュでマッド仕上げかつサラサラ質感でスムーズな移動が可能です。
そしてネックはやや薄めで、幅も広くはないのでコンパクトさを感じる握り心地、そしてロックスタイルで握り込む際にストレスなく親指を6弦に掛けやすい印象です。
ちなみに628mmのロングスケールです。
【JOINT】
ネックとボディを連結するジョイント部分は “SUPER PLAYABILITY JOINT” と言って、YAMAHAが拘った構造として1段落とし込んだ設計になってます。この事でハイポジションも楽々と行き来できるのでストレスフリーです。
そして4点式ボルトON留ですが、分厚いプレートをボディ側に深いザグリを設けてハメ込んだ形でネジを固定してます。
【BRIDGE】
1stモデルのMG-M(BSB)のブリッジは“Flat Adjustable”と言ってボディに直接ボルトONされたノン・トレモロ仕様です。
その事からRM-ProⅡ搭載のMG-MⅡやMG-MⅡGとは異なり弦振動や鳴りに違いを生みます。
固定ブリッジ、ナット、そしてザグリの無いボディの質量、他にボディの厚みを通しての弦の長さ....これらの少しの違いが複数組み合わさった出音はMG-Mオリジナルのサウンドを作り上げてると当方は感じました。
【PICK-UPS】
MG-MのピックはH-S-Hの配列です。
F:“FOCUS”-SH1T(Ceramic)
S:“FOCUS”-SS1(Alnico V)
R:“FOCUS”-SH1T(Ceramic)
となってます。サウンドの思考はセラミックだからと言って高出力と言うわけでもなく、割とタイトで粗さ(ザラ付き)を控えた印象です。
このピックアップは後のMG-MⅡ(BSB)と同じ物なのですが、ブリッジやナットの仕様の違いから出音が正直異なる印象を受けました。
又、バイサウンドとしてセンターミックス使いは、トレブリーに振られつつ音抜けも良く、それっぽい雰囲気を与えてくれます。
そして余談ですが、MG-MとMG-MⅡのセンターピックアップを収めるザグリのデザインが実は異なります。個人的にここも魅力に思います。
【CONTROLS/SELECTOR SW】
ピックアップがH-S-Hなので5ウェイセレクターになります。
この5ウェイセレクターはセンターとのハーフトーンにした時に前後のハムバッカーは自動でシングルに変更され、シングル同士のミックスになる構造です。
そのセレクターはヴォリュームノブの後方で切り替えが非常に遠いのですが、松本孝弘 氏 本人はレコーディング時にしか頻繁に切り替えない、ハードなアクションで不用意に当たらない箇所にと言う事を想定してこの位置に決まったと言われています。
又、1ヴォリュームの理由も当時は機材でトーンコントロールしてたスタイルだった為に、ギター側ではシンプルな操作にしたかったとも言われてます。
【JACK】
MG-Mのジャックはボディ後方の側面、斜め下側に埋め込まれる様に取り付いてます。
MG-Mシリーズではこのシンプルで小デザインなジャックが主張し過ぎない事で、洗練されたボディデザインとマッチしてる様に思います。
とは言え、個人的に唯一の問題とするのは...シールドを差し込む際に目標とする物がなく探してしまう事くらいでしょうか?!
【STRAP PIN】
ストラップピンは末広がりで全長が非常に低いタイプが取り付けられてます。
社外パーツなどに交換する際には問題ないのですが、純正を使用する場合はストラップの厚みが比較的薄いタイプが良い気がします。
このストラップピンの全長の低さは、汎用性のある樹脂製ロックアイテムなどの装着の際にも完全にロックできないほど余裕がありません。
【おわりに】
1stモデルのMG-M(BSB)から始まり、RM-ProⅡを搭載した2ndモデルのMG-MⅡ(BSB)、3rdモデルのMG-MⅡG(NL)、そして最終であり4rhモデルのMG-MⅢ(ZF)....
松本孝弘モデルのギター名を文字で並べるだけで不思議と興奮を覚えます。
そしてその中でもやっぱり今回の1stモデルでもあるMG-Mは市販品専用の仕様とは言え、ここから松本孝弘モデルがスタートしたわけですから改めて感動が呼び覚まされます。
その一方でYAMAHA MG-Mシリーズの中では機能面の問題なのか...それとも出回る数の問題なのか?他のモデルに比べて人気が薄い印象を受けますが、個人的にシンプルで非常に魅力あるエレキギターと感じます。
そんな完成形MG-Mシリーズの原点である1stモデル、所有するギター画像と当時のMG-Mが紹介されたカタログ等を記念に載せて書かせて頂きました。
とても長い内容になってしまいましたが、最後まで読んで頂きありがとうございます!